大人になってからでも歯の並びは変わる!?意外と多い大人の歯並びの悩みや歯列矯正について足立先生に伺いました!

実は、大人になってからでも歯の並びは変わるんです!
今回は、意外と多い、大人の歯並びの悩みや歯列矯正について、足立優歯科の院長である足立先生にお話を伺いました。

大人になってからでも歯が動いて歯並びが悪くなるのはなぜ?

若いころと違って歯並びが悪くなることは良くあります。これは身体の他の臓器とは違って、歯は動くという仕組みを持っているためです。
歯は車であればタイヤ、キッチンなら包丁のようなものです。どちらも使えば使うほどすり減りますよね。
歯も同じです。使えば使うほど表面の硬い部分(エナメル質)がすり減ります。
タイヤは取り換え、包丁は研ぎ直しで使えるようになりますが、歯の取り換えはできません。
しかし歯の場合は、歯自体が骨の中から伸び出てくることでこのすり減りを補います。これが歯の動く仕組みです。
この歯が動く仕組みを使っているのが矯正という治療方法で、歯並びを治すことができます。

歯を動かすには力が必要・・・歯並びが悪くなる原因は、良くない力のかかり方にアリ!

自然に歯が伸び出るのとは異なり、矯正治療では歯に力を加えて動かします。
このように力が加わると歯は動くのですが、大人になって歯並びが悪くなるのは、良くない力が歯に加わることが原因です。その良くない力は、主に咬み合わせの不具合から発生します。
 「咬み合わせ」は「歯並び」とは異なります。
咬み合わせとは、上下の歯の接触のし方、顎の動きに添ったこすり方のことです。
実は歯は、髪の毛の細さの半分程度(約30ミクロン)の誤差を敏感に感じることができます。そのため、わずかな引っ掛かりがあったり、上下の歯が顎関節の正しい位置で咬み合わず、接触するタイミングがズレていたりすると、身体に違和感が生じます。
この違和感を解消するために人間は無意識の状態で食いしばりや歯ぎしりをおこない、この引っ掛かりやズレを改善しようとします。この食いしばりや歯ぎしりにより、歯に加わる力が歯を動かし、歯並びを乱すのです。
歯科医師はドリルで歯を削って引っ掛かりやズレを調整することが出来ます。しかし自力でその問題を改善するときは歯ぎしりや食いしばりによるため、歯には良くない力が加わり、歯が動いてしまうのです。

大人の矯正治療で注意する4つのポイント

大人の矯正治療では成長期の子どもとは異なる配慮が必要です。
それは一定期間歯を使っているため、大人の歯にはさまざまな変化が生じているからです。
矯正治療を始めるにあたり配慮すべき点は以下の通りです。

1)原因を取り除くこと

歯が動いてしまった原因は良くない力が加わったためです。ですから治療を計画するにあたっては、咬み合わせを十分に配慮し、矯正後に良くない力が加わらないように治療計画を立てることが重要です。

2)歯の修復を行うこと

多くの場合、良くない力が加わり続けたことなどにより、歯はすり減ったり欠けたりしています。このため、本来あるべき歯の形が変形しています。
また修理した歯もいびつな形になっている場合があります。これでは歯を正しい場所に動かしても、上下の歯が上手くかみ合いません。必要に応じて歯の修復処置を行い、本来の歯の形を取り戻してください。

3)治療前に他の病気を完治させておくこと

矯正治療を開始する前には、歯ぐきが健康で、むし歯が治療されていて、歯根尖部に炎症がないことが必要です。
いわゆる基本的な治療を完了させておくことが条件となります。

4)歯を抜かない治療計画を選択すること

矯正治療では歯を間引いて抜歯する場合と、そうでない場合があります。
歯を抜く方法を選択すると、内側にある舌のスペースが狭くなります。この状態は将来、睡眠時無呼吸症を発症しやすくしてしまいます。
できるだけ歯を抜かない計画を選択しましょう。

矯正治療は単なる咬み合わせや歯並びだけの治療ではありません。
歯の位置を整える治療だと理解し、治療後の咬み合わせについて配慮いただける歯科医師を選ぶようにされることが、矯正治療で失敗しないポイントです。
治療前に歯科医師とよく相談をしてから治療に取り掛かりましょう。

執筆者

足立優先生
足立優歯科院長

[経歴]
昭和60年大阪歯科大学卒業後、勤務医を経て昭和63年アメリカ留学。
平成1年に東灘区岡本に「生涯にわたり歯を失わない歯科医療」を目標に足立優歯科診療所を開設する。
平成16年には「NPO法人明日の歯科医療を創る会POS」を設立し、「患者中心の医療」とそれを支える「予防型総合歯科医療」の普及に取り組み、患者及び歯科医療従事者に対し講演・執筆活動を展開する。
平成23年からは「より良い歯科医療を望む患者支援」を目的として歯科人間ドック(デンタルドック)の提供を開始し、足立優歯科・神戸デンタルドックセンターとして医業展開する。
現在新たな歯科医科連携による予防医療の普及を目指し、一社)健康マイスター協会を設立、共同代表理事に就任。

足立優歯科ホームページ
https://www.adachi-dental.jp/

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