[前編]物事をポジティブに捉える力を身に付けるためには?コツはゲーム感覚??歯科医師で選択理論心理士でもある角田先生に伺いました!
春の陽気に反比例するように気分が落ちてしまう。いわゆる、五月病に悩む方は多いのではないでしょうか?
今回は、つのだデンタルケアクリニック院長、歯科医師で選択理論心理士でもある角田智之先生に五月病やその原因についてお話を伺いました。
実は病名じゃない!五月病っていったい何?
五月病とは、医学病名ではなく、一般的につけられた病名です。
では、なぜ五月病というのでしょうか?
4月は、就職、入学、進級、引っ越しなど新生活を始められる方も多く、その方のおかれている状況や環境が大きく変化する時期といえます。
はじめは期待を持ちつつ変化に順応しようとしますが、期待と現実のギャップが大きい場合、1か月過ぎた5月くらいに、蓄積されたフラストレーションが徐々に身体症状として表れやすいため五月病といわれているようです。
また、転職なども同様で、転職後1か月くらいで同じ症状を呈した場合、5月ではなくても五月病といえるでしょう。
症状としては、不安感、無気力、胃痛、下痢、食欲不振、焦燥感、頭痛、腰痛、ほか体の痛みなど多彩な症状を呈することがあります。
五月病にかかりやすい人としては、「まじめな人」というイメージがあるかもしれませんが、「まじめな人」というよりは、新しい状況や環境に対して期待感を大きく持っている方かもしれません。それだけ、期待と現実のギャップが大きければ、フラストレーションも大きく、症状として出やすいのでは、と思います。
フラストレーション蓄積の原因。否定的解釈をし続ければどうなる?
フラストレーションを蓄積させる原因に、『物事を否定的に捉えてしまうこと』があります。
否定的な解釈をし続けると、どんどん自分を追い込むことになり、苦しくなってしまうでしょう。
ですが、その否定的解釈をしているのは誰でしょうか。
それは、だれでもない自分自身。
自分で選んでいるなら、当然違う思考の選択もできるはずです。
人はなぜ否定的解釈をしてしまうのか?
そもそも、自分を苦しくさせる否定的な解釈を人はなぜしてしまうのでしょうか?
それは、否定的解釈から得られるものがあるからだと考えられます。
ネガティブ思考といってもよいでしょう。ネガティブ思考から得られるものは、自分の「正しさ」ではないでしょうか。
いまの状況は、周りの人や環境がそうだからこうなった。
「自分は悪くない」と他責にしていれば、自分で考えたり、行動しなくてすみます。
自分は悪くない、会社が悪い、上司が悪い、部下が悪い、夫が悪い、言うことを聞かない子どもが悪い、社会が悪い、私は運が悪い・・・。
昔から「他人と過去は変えられない」といいます。
いくら周りのせいにしても、コントロールできないことを、一生懸命しようとしていることに気づいていないのかもしれません。
そしてできないことが怒りに変わり、やがて落ち込む。
この繰り返しをしているため、否定的解釈から抜け出せなくなってしまう。
そんなときは、自分の正しさを一時わきにおいて、自分がどうなりたいのか、身近な人と仲良くするつもりがあるのか、そのために今できることはないか、など自分のできることフォーカスし考えてみましょう。
それが自分自身の制御につながり、楽になる手段につながっていきます。
もし、自分が五月病かと思ったなら、まずは今、自分が置かれている状況や環境を見つめなおしてみて、人間関係の不具合含め、コントロールできないものをコントロールしようとしていないかなどの自己検証をしてみてください。
物事をポジティブに捉える力を身に付けるためには?コツはゲーム感覚??
では、五月病対策にはどうしたらいいか?それは事実に対する肯定的解釈、すなわちポジティブに捉えることができる習慣を普段から身に付けておくことをおすすめします。
日常生活において「嫌なこと」があったとしても、額面通り「嫌なこと」として受け取るのか、その裏側にある肯定的要素に目を向けることができるかで、気持ちも大分変わってくると思います。
これは、思考トレーニングで可能です。
自分に起きることを、
『ポジティブに解釈するのはどうしたらよいか?』
とゲーム感覚でトレーニングすると効果的です。一朝一夕にはいきませんが、徐々にそういった思考を取り入れることができれば、自分自身が楽になると思います。
例えば、エレベーターのないマンションの五階に住んでいて、朝出勤時に鍵を忘れ取りに帰る場合、
「また、階段で5階まで戻らないといけない!もう最悪!」
と解釈するのに対して、
「最近運動不足だから、階段を上ることで良い運動になるな」
といった解釈はどうでしょう?感じ方が全然違いますよね。
例えば、同じ会社に新入社員が二人いたとして、一人は
「この会社は嫌な人ばかり、業務もきついし、もう無理!」
と解釈し、もう一人は、
「この会社の業務はきついけど、自分を成長させてくれる人ばかりだ!なんてすばらしい会社だ!」
と解釈している。
2人とも状況には大きな差はなく、ただの」思い込み「です。では、どちらの」思い込み「が自分にとって楽になれるでしょうか?考えてみてください。
[執筆者]
角田智之先生
つのだデンタルケアクリニック院長
歯科医師
日本選択理論心理学会認定選択理論心理士
予防歯科と口腔外科、舌痛症診療を中心にした診療をおこなっています。
予防歯科は唾液検査を実施し、患者さん一人ひとりにデータに基づいたオーダーメイド予防プログラムを提供することで、地域における歯科疾患の予防に努めています。
原因不明の舌の痛みを主症状とする舌痛症は心理的要因にて発症すると言われており、メンタルヘルスが大きく関わっていると考えられています。
当院は、数少ない舌痛症を診療するクリニックであり、なかでも薬を使わず心理療法のみで改善することに力を入れています。
オンライン診療も行っており、患者さんは全国から受診可能な体制を整えています。そのほか、メンタルヘルスに関する相談も行っています。
心理的側面からの身体への影響は計り知れないものがあり、少しでも心理療法を通して、困っている患者さんのお役に立ちたいと願っています。
つのだデンタルケアクリニック
https://tsunoda-dentoral.net