【前編】低用量ピルと超低用量ピル何が違うか知っている??は森女性クリニック 院長、森先生に伺いました!

避妊に使用するイメージですが、生理不順など女性にさまざまなメリットがあるとも聞くし、太る・頭痛がするなどのデメリットがあるとも聞くピル。
興味はあるけど、婦人科を受診することにハードルを感じている人も多いのではないでしょうか。
今回は森女性クリニック 院長の森久仁子先生に、気になるピルについてお話を伺いました。

そもそもピルってなに?

ピルとは一般的に「経口避妊薬」のことを指します。
エストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンの合剤で、女性ホルモンの作用を利用して妊娠を防ぐ薬です。
避妊の目的以外にも、月経に伴う症状を改善します。
エストロゲンの量により中用量ピル、低用量ピル、超低用量ピルと種類分けがあり、今回は低用量ピルと超低用量ピルについてご説明します。

低用量ピルとは

低用量ピルとは、含まれているエストロゲンが30~50㎍の製剤です。
低用量ピルは避妊目的で処方されるだけでなく、月経痛・月経前症状・月経不順・子宮内膜症・ニキビの改善などの効果があり、幅広い用途で処方されています。
28日が1周期と設定されており、1周期分の薬が1シートにセットされています。
シートには21錠タイプと28錠タイプがあり、21錠タイプでは、21錠を服用後に7日間内服をお休みします。
28錠タイプでは、最後の7錠はプラセボというホルモンの成分が入っていない薬であり、休薬せず毎日飲むことで、服用を習慣化し飲み忘れが少なくなるように作られています。
休薬もしくはプラセボ内服中に、毎周期ほぼ28日周期で出血がおきます。

超低用量ピルとは

超低用量ピルとは、含まれているエストロゲンが30㎍未満の製剤です。
超低用量ピルは避妊目的で処方されず、月経痛や子宮内膜症などの治療を目的として、保険診療で処方されます。
低用量ピルのように毎周期出血がおきるタイプと、数ヶ月連続で内服しつづけ、出血の間隔が1~4ヶ月となるタイプがあります。
連続内服のほうが、月経に伴う頭痛や気分の浮き沈みなどの症状や月経痛を軽減する効果が高いといわれていますが、予測できないときに出血がおきる、出血が長く続くことがあります。

自費診療と保険診療の違いは?コストも違う?

避妊を目的とした場合には自費診療、月経痛や子宮内膜症などの疾患の治療を目的とした場合には保険診療になります。
自費診療で処方されるピルをOC(Oral Contraceptives)といい、すべてが低用量ピルです。
保険診療で処方されるピルをLEP(Low dose Estrogen Progestin)といい、低用量ピルと超低用量ピルがあります。
OCは1シート約2500円ですが、初診では初診料が加算され4000円~5500円、再診では再診料が加算される場合があり計2500~4000円程度のコストがかかります(自由診療のため、医療機関によりコストが異なります)。
LEPでは薬代に初診料(再診料)・処方料・薬剤情報提供料が加算されるため、初診では約3500円、再診では2500~3000円程度のコストがかかります(保険診療では薬価が決まっているため、どの医療機関でもコストは同じです)。
子宮内膜症の治療のために処方されている場合は、婦人科特定疾患管理料(750円)が加算される場合があります。
合計のコストは自費診療・保険診療でほぼ同じですが、LEPの後発医薬品(ジェネリック薬品)を選択すると、初診では1600~2000円、再診では1100~1400円程度と、保険診療のほうが安くなります。
また保険診療の場合、処方の上限は3シートと制限があります。避妊と月経痛を兼ねたいなど目的が複数ある場合は、かかりつけの産婦人科で相談してピルを決めましょう。

ピルの内服方法は

どのピルでも毎日決まった時刻に内服します。
飲み忘れや飲み遅れがあると、ピルの効果が期待できない場合や、不正出血がおきる原因になります。
特に避妊を目的としている場合は、予期せぬ妊娠につながる恐れがあります。

今回は、ピルの中でも低用量ピルと超低用量ピルとコストの違い、服用方法などについてお話ししました。
次回は、ピルのメリット・デメリットについて詳しくお話ししたいと思います。

[執筆者]

森久仁子先生
産婦人科専門医、医学博士
大阪医科大学を卒業後、同大学産婦人科学講座に入局。
同大学産婦人科学講座助教、和歌山労災病院をへて、平成25年和歌山市に森女性クリニックを開院。
プライバシーに配慮したクリニックで、産婦人科としての枠組みだけではなく、女性医療の充実を目指すべく診療を行っている。

森女性クリニック
https://www.mori-ladies.com/

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