オーラルケアのはなし④死を招くこともある!?歯周病のケア方法について

前回オーラルケアのはなし③気をつけて!20代からなるこわ~い歯周病のはなしとケア方法で、バイオフィルムプラークの厄介さについてお話ししましたが、今回はそのケア方法と歯周病の影響についてご説明します。

やっぱり、いちばん重要なのはブラッシング

バイオフィルムプラークはいわば細菌が固まり、スクラムを組んだような状態です。
最も効果的なのはそのスクラムを物理的な刺激=ブラッシングで壊してしまうこと。

そうすることで、歯みがきに含まれる抗菌成分も効果を発揮しやすくなりますし、お口の万能選手である唾液(オーラルケアのはなし②お口の環境にとっては最重要な唾液の役割とは)も細菌に届くようになるのです。
ブラッシング方法はにて4種類お話ししましたが、中でも歯周病対策に最も重要な磨き方はバス法です。
歯と歯茎の境目(歯周ポケットとも呼ばれています)に、45度の角度で歯ブラシを当て、小刻みに揺らし、丁寧に磨きます。
歯周病は歯と歯茎の境目や、歯と歯の間から起こることが多いです。
また、歯の裏側は特に磨きにくく、忘れがちなポイント。
前歯の裏を磨くときは、歯ブラシを縦にすると磨きやすくなるので、1本1本丁寧に磨きましょう。
そして、やはり忘れてはならないのが歯間のケアです。
自分の歯並びに合ったデンタルフロスや歯間ブラシを使用しましょう。
セルフケアが最も重要ではありますが、やはり自分で磨くだけでは磨き残しなどが原因でトラブルが起こってしまうこともあります。
年に1~2回は、歯医者さんへ行き、プロのチェックを受けることをおすすめします。
歯垢の付着具合などから、自分が磨き残しがちなところを教えてもらったり、磨き方の指導を受けたりすることもできますので、歯医者に行くのが苦手という方は大人にも多いと思いますが、将来の自分の歯のためにがんばりましょう!

死を招くことも…歯周病は全身に影響する!?

もし歯周病にかかって歯がなくなったとしても、最悪入れ歯やインプラントなど、今はいろいろあるから平気…なんて思った方、いらっしゃいませんか?
実は、歯周病は口腔内だけでなく、全身の様々なところに影響するのです。
●糖尿病の方への影響
歯周病の原因菌が糖の代謝に影響を及ぼし、血糖値のコントロールが難しくなります。
逆に糖尿病の方が歯周病にかかると、悪化しやすくなることも分かっています。
●妊娠中の方への影響
歯周病に罹患すると、早産のリスクが7倍になるといわれています。
また、妊娠中期~後期はホルモンバランスの関係で歯周病が悪化しやすくなりますので、ご注意ください。
●誤嚥性肺炎の危険度アップ 
誤嚥性肺炎とは、文字通り誤って飲食物を気管や肺に吸い込んでしまうことで発症する肺炎のことで、飲食物と一緒に菌を吸い込んでしまい、気管から肺へ入ることで起こります。
誤嚥性肺炎の原因となる細菌の多くが歯周病菌であるといわれています。
●関節リウマチへの影響
関節リウマチとは、身体の関節に痛みやこわばりなどがおこり、進行すると全身に関節炎などの様々な症状が現れてくる自己免疫疾患です。
関節リウマチは、歯周病の病原体の中にある抗原が関連するとも言われており、最近の研究により、歯周病治療をおこなうと、関節リウマチの症状が改善されることがわかっています。
●心疾患や脳血管疾患への危険度アップ 
これらの病気の要因として、食生活や運動不足、ストレスなどがあげられてきましたが、歯周病の原因菌などの刺激により、血管内に動脈硬化を誘導する物質が発生することが分かりました。
歯周病の人の脳梗塞のリスクは、通常の2.8倍になるといわれています。
いかがですか?
歯周病とは、単なる口臭の原因や歯が抜ける病気というだけではなく、全身の健康に関わる重要なファクターのひとつなのです。

歯があることの大切さ、8020運動

皆さんは、「8020運動」という言葉を聞いたことがありますか?
これは、“80歳になっても20本以上自分の歯を保とう”という運動で、厚生労働省と日本歯科医師会が提唱したものです。
20本以上の歯があると、ほとんどの食べ物を自分で咀嚼して食べられるそうです。
しっかり噛んで、自分でご飯を食べるということが、脳に与える影響というのはとても大きく、アルツハイマー型痴呆の方と、結構な老人を比較すると、アルツハイマー型痴呆の方は残存歯数が少ないという報告もあります。
自分の歯を残すことは、見た目の美しさを保つだけでなく、豊かな人生を送る上でとても大切です。
自分はまだ若いから…などと思わず、気付いた時からしっかりケアをし、いつまでも自分の歯で美味しいご飯をいただきましょう!

(キレイ研究室 研究員: 船木)
8020運動

関連記事一覧