PMS(月経前症候群)ってどんな症状?イライラや憂鬱の原因と対処法について

月経がはじまる1週間前ぐらいから、「だるい」「イライラする」「胸が張って痛い」「お腹が痛い」「吹き出物ができる」といった、さまざまな不調があらわれることがあります。

これは「月経前症候群」や「月経前緊張症」といい、最近では「PMS=Premenstrual Syndrome」と呼ばれることも多く、耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか?

今回は、多くの女性を悩ますPMSについてお話ししたいと思います。

さまざまな不調があなたを襲う! PMSって何??

PMSの症状は、イライラする、憂鬱になるといった精神的なもの、胸や下腹部に現れる痛み、肌あれや吹き出物といった肌の不調、むくみや体重増加まで、本当に多岐にわたるうえ、体重の増加や吹き出物に気分が沈み、さらに憂鬱さが増すといった悪循環も起こりがちです。

また、PMSの中で気分の落ち込みがさらに重症化するものを「月経前不快気分障害(PMDD=Premenstrual Dysphoric Disorder)」といい、月経前は心身ともにさまざまな症状が起こります。

なぜ、このようなことが起こるのでしょうか?

実は、PMSが起こる原因については、まだわからない点も多いのですが、2種類の女性ホルモンが大きくかかわっていると考えられています。

女性の体内では、月経後から排卵までの卵胞期には「エストロゲン(卵胞ホルモン)」が、排卵後から生理までの黄体期には「プロゲステロン(黄体ホルモン)」がそれぞれ多くなります。

プロゲステロンは、水分を蓄える方向に体を持っていくためむくんだり体重が増えたりし、また皮脂の分泌を多くするので、吹き出物が出たり肌の調子が変わったりするのです。

月経が終わるころからは、エストロゲンの分泌量が増加し、肌も体も心も上り調子で、活動的になれる時期となります。

このように書くと「プロゲステロンなんていらない、エストロゲンだけでいい」と思われる方もいるかもしれませんが、プロゲステロンは受精卵を子宮に迎える準備をするなど、妊娠時の女性の体を支える重要なホルモン。

エストロゲンとプロゲステロン、両方の分泌が減る月経前の時期には、心身が不安定になり、頭痛・腰痛・気分が沈むなど、元々の体質的に弱いところにPMSの症状が出やすくなるとされています。

成人男性の場合、加齢による増減はあっても男性ホルモンは基本的には年間を通じて一定に分泌されているので、女性のように心や体が不安定に揺らぐことはあまりありません。

月経に関する辛さやPMSについて、なかなか男性に理解されない理由は、ここにあるかもしれませんね。

つらいPMSをどう乗り切る?

イライラすると、つい甘いものに手が伸びてしまう、という方は多いのではないでしょうか?

しかし、糖分の多い食べ物は、血糖値の乱高下を招き、気分を不安定にさせることが考えられるので、この時期にはあまりおすすめできません。

甘いものを食べ過ぎたせいで体重の増加や肌あれが起これば、それがストレスとなり、ますますPMSは悪化!

この期間のおやつは、フルーツやヨーグルトなどを選んだり、食べる量を調整したりして、体の調子に合わせて工夫すると良いでしょう。

大豆にはPMSの緩和に役立つとされているイソフラボンが豊富なため、きな粉を使った和菓子や豆乳を使ったドリンクなどもおすすめです。

女性ホルモンに限らず、全てのホルモンは体内時計の影響を受けているため、不規則な生活を送ると体内時計が乱れてさまざまなリズムが崩れ、ホルモンのバランスも崩しやすくなります。

睡眠時間や食事の時間を急変させず、規則正しい生活を送ることも重要です。

また、肌が敏感な時期になるので、新しい化粧品を試すのはあまりお勧めできませんし、皮脂や吹き出物が気になるからといって、ゴシゴシこすり洗いは厳禁!

肌に合った製品で、優しくていねいなスキンケアを心がけましょう。

几帳面で完璧主義、負けず嫌いで真面目、責任感が強いタイプの方は、ストレスを抱え込みやすく、PMSの症状も重くなりがち。

いつものように頭が働かない・体が動かないせいで、どうしてもイライラしてしまうことはあるかと思いますが、「今はそういう時期!どうせ1週間程度のことだし仕方ない!!」と割り切ってしまうことも大切。

また、PMSは月経周期からいつ起こるか分かりやすいものなので、可能であればこの時期があまりハードになり過ぎないように、仕事でもプライベートでもスケジュールをタイトにしないように、前もって調整しておくといいでしょう。

この期間は、好きな音楽を聞いたり、アロマを楽しんだり、のんびり過ごすことも必要です。

もし、不快な症状が強すぎて仕事や学校に行けない、気持ちが落ち込み過ぎ自分ではコントロールできないなど、症状が重いような場合は、婦人科の受診をおすすめします。

「たかがPMS」「イライラするぐらいで」「一時的なものだから」「恥ずかしい」などと思って受診をためらう方も多いですが、低用量ピルや漢方の処方により、PMSを緩和させることができることもあります。

普段通りの生活ができなくなり、人間関係や仕事などに大きな影響が出る前に、つらいときは我慢しすぎないで受診してみましょう。

女性ホルモンは、一生の間にティースプーン1杯、1日に換算すると数ピコグラム(1/1兆g)しか分泌されないといわれています。

その1杯の女性ホルモンで、私たちの体に月経が起きたり、妊娠が可能になったりはもちろん、肌や髪の調子、そして精神面まで影響が及びます。

最近では、骨粗鬆症やアルツハイマー型認知症といったいくつかの病気のかかりにくさにも影響があることが分かっています。

周期に合わせて、心や体が揺らぐのは、面倒に感じてしまいますが、実は女性の体にとって必要なこと。

自分の体に起こっていることをよく知って、つらい時期も上手に乗り切っていきたいですね!

[文:キレイ研究室研究員 船木(化粧品メーカー研究員・サプリメントアドバイザー・健康管理士一般指導員・健康管理能力検定1級)]

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