機能性低血糖症って何?低血糖症の原因と対策のポイント

デスクに着く前の、1本の甘~い缶コーヒーを習慣にしていませんか?
朝ごはんを菓子パンにしていませんか?
実はこれ、あなたの不調の原因となっているかもしれません。
キーワードは『血糖値』です。

あなたの不調の原因は低血糖症かも!

「めまいがする」
「疲れが抜けない」
「気持ちが不安定になる」
原因不明の不定愁訴といわれることも多い、これらの症状。
病気というほどではないし、日常生活を送れないこともないから、会社や学校を休むほどではないと考え、「しんどいなぁ」と思いながらも毎日を送ってしまいがち。
実は、これらの原因は低血糖症によるものかもしれません。
「糖尿病への懸念から、高血糖は気にしているけど、低血糖?」
と思われる方もいるでしょう。
しかし、高血糖症も低血糖症も、原因はとても近くにあるのです。

上がった後に急降下! ジェットコースター血糖


糖質を一気にたくさん摂った結果、血糖値は急上昇。
すると、急激に上がった血糖値を下げようと、インスリンが大量に分泌され、血糖値が正常範囲を超えて急降下するため、乱高下型低血糖症と呼ばれる症状が起こることがあります。
血糖値が急角度で上下することから、『血糖値スパイク(グルコーススパイク)』『ジェットコースター血糖』などと呼ばれています。
血糖値が急激に下がることで、イライラしたり、急に眠気がきたり、集中力が低下したりするため、血糖値同様に感情も乱高下しがち。
そして血糖値が下がったことにより空腹感を感じ、また糖質を取ってしまうというスパイラルに陥ってしまうことも懸念されています。
朝、糖分たっぷりの缶コーヒーを取り、一度は気分がシャキッとしてやる気が出る(血糖値急上昇)、その後すぐに眠くなったり疲労を感じたりする(血糖値急降下)ため、また缶コーヒーを飲む……となる方が多いことから、『缶コーヒー症候群』、ペットボトルの清涼飲料の多量摂取によっても起こりるので『ペットボトル症候群』などと呼ばれることも。
朝は忙しいからと朝ご飯を食べず、空腹の状態で出社前に缶コーヒーを買う習慣があるという人は要注意です!

低血糖症や高血糖症が起こる原因とは?

乱高下型低血糖症以外では

無反応性低血糖症
糖分をとっても腸管から血中へ吸収されず血糖値が変化しない。
10~30代の若い人に多く見られる。
現代の子どもが無気力だったりキレやすかったりすることの原因といわれることも。
反応性低血糖症
食後に血糖値が大きく上昇し、食後3時間後ぐらいまでの間に急激に下がる。インスリンが大量に分泌されることから、太りやすくなるともいわれる。

などが機能性低血糖症のタイプとしてあげられます。
これらの原因は複雑で、体質や病状、飲んでいる薬などさまざまな要因が考えられますが、実は「食事」が大きな原因のひとつだといえます。
一度に大量の糖分や炭水化物を取り、血糖値を急上昇させることで、インスリン分泌のバランスが崩れてしまうため、急激に血糖値が下がったり、上がりにくくなったり、反対に下がらなくなったりといったことが起こります。
体が血糖値のコントロールを上手にできなくなってしまうのです。
高血糖症と低血糖症の根源は近いと考えられます。

低血糖症にならないためには?

低血糖症にならないための、食事の3つのポイントについてお話しします。
大切なのは『血糖値を緩やかに上昇させ緩やかに下降させること』となります。

1.食べる順番を意識する
べジファーストともいわれるとおり、食物繊維を豊富に含む野菜や海藻からスタート。
その次にたんぱく質(肉や魚など)を食べ、最後にご飯やパンといった糖質を食べるようにしましょう。
食物繊維も炭水化物の一種ですが、人間の消化酵素では消化できず、糖の吸収を遅らせ、血糖値の上昇を緩やかにする働きがあります。
また、最初に野菜をたくさん食べることで、糖質の食べ過ぎを防ぐこともできます。

2.欠食はしない
朝食を摂らないと午前中の血糖上昇が不足し、脳などへのエネルギーの供給が不十分となります。
さらに、ご飯を抜いて空腹状態が長くなると、次の食事のときに血糖値が上がりやすくなってしまいます。
朝食を抜いて昼食に糖質を摂ると、血糖値が顕著に上昇するとの報告もあります(出典:Glycative Stress Research 2017;(4):124-131)。
バランスよく3食を摂ることが大切です。

3.血糖値を急上昇させるものは避ける
甘い(糖質が多い)・柔らかい(噛む必要がない)ものの多くは血糖値を急上昇させやすい食品です。
缶コーヒーや清涼飲料水、柔らかく甘い菓子パンなどはなるべく避けましょう(特に空腹時)。
GI値の低いものを選ぶようにしましょう。

高血糖症も、低血糖症も、重要なのは血糖のコントロールです。
まずは食事。
散歩などの適度な運動(特に食後がおすすめ)も取り入れ、適正な値を維持できるように生活習慣を整えましょう。
2~3か月ほど生活を改善しても症状が良くならない場合は、他の原因も考えられます。
その際は、早めに医師の診断を仰ぎましょう。

[文:キレイ研究室研究員 船木(化粧品メーカー研究員・サプリメントアドバイザー・健康管理士一般指導員・健康管理能力検定1級)]

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