体内のナトリウムバランスを調整する働きを持つ「ぎんなん」の良いとこ取りをしよう!
秋の味覚であるぎんなん。
ですが、美味しいものが多い秋の味覚の中で、楽しみにしているという方はたった1%……。
食材としてメジャーとはいえないので仕方のないことかもしれませんが、実はぎんなんは栄養価が高く美容にもうれしい成分がたくさん!
今回は、秋のマイナー食材(?)ぎんなんの魅力についてお話しします。
秋を彩る、ぎんなんのポテンシャル
ぎんなんとは、秋に色づくいちょうの実……ではなく、種子の部分を指します。
『金色(こんじき)の小さき鳥の形して 銀杏(いちょう)散るなり 夕日の丘に』
みだれ髪の中で与謝野晶子もうたっているように、地面をまっ黄色に染める、小鳥のような形をしたいちょうは、秋らしい景色にとって欠かせないもの。
そして、そこにポツポツ落ちているぎんなんから発せられる独特の臭いについても、イチョウの美しさとのギャップもあり、かなり強いインパクトがありますよね。
ぎんなんはナッツなどと同様、種実類に分類されます。
ナッツといえば、栄養価が高いけどハイカロリーなイメージがあるかと思いますが、ぎんなんはかなりローカロリー。
クルミやアーモンド、ピーナッツと比較してもかなり低く、種実類の中でも低カロリーな栗と同等ぐらいのカロリーです。
そして、体内のナトリウムバランスを調整する働きがあり、むくみが気になる方におすすめなカリウムが豊富で、カリウムが豊富といわれる野菜や種実、果物と比較しても引けを取りません。
また、ぎんなんは種実類にしては珍しくカロテンが豊富(290μg/100g)で、えだまめ(生)(260μg/100g)やトマトジュース(310μg/100g)と同じぐらい含まれています(出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂))。
カロテンは体内でビタミンAとして、皮膚や粘膜を丈夫にしたり、免疫力を強化したりする働きがあります。
風邪をひきやすいこの季節、また新型コロナウイルスの流行もある今年は、特にしっかりと摂っておきたい栄養素だといえますね。
また、ビタミンAは美肌にとっても重要なビタミン。
不足がないように心がけましょう!
ぎんなんは食べすぎ注意!
ぎんなんは漢方のギンキョウとして中国の本草学図書である『紹興本草』にも掲載され、咳や喘息、頻尿や夜尿症などの症状の方に処方されています。
栄養価も高く、薬としても用いられるぐらい効果がありそうなぎんなんですが、食べるときには注意しなければいけない点があります。
ぎんなんにはビタミンB6に似た構造を持つギンコトキシン(4-O-メトキシピリドキシン:MPN)が含まれています。
MPNを摂取することで、MPNがGABA(4-アミノ酪酸)の生合成を阻害し、興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸との相対的な量のバランスが崩れることで起こる枢神経の異常興奮によって、けいれんなどなどが起こるとのこと(出典:化学と生物 Vol40, No.5, 2002 p.300-305)。
大人の場合は、何十個を一度に食べるなど、よほどの量を食べないと心配はないとされていますが、小さな子どもの場合は5~7粒程度でも食中毒を起こしたという報告があるそうなので、気を付けましょう。
幼児に与えることは避け、健康に問題のない大人であっても、10~15粒程度を目安にしてください。
ぎんなんに関しては、もうひとつ注意が。
ぎんなん拾いをされる方は、手袋をするなどして、素手でぎんなんの外種皮(可食部外側の柔らかい部分)に触れないように気を付けましょう。
外種皮にはギンコール酸などの成分が含まれており、触れるとアレルギー性皮膚炎を起こす原因となると考えられます。
ゴム手袋やビニール袋、トングなどを準備してから拾ってくださいね。
また、ぎんなん拾い際には外種皮付きのぎんなんを踏まないようにするのもコツ。
ぎんなんのあの臭いは、外種皮に含まれる酪酸(汗や足裏のような臭い)、エナント酸(腐敗臭)が原因だそうです。
外種皮を踏んで、靴裏につけてしまうと臭いを取るのが大変に……。
ぎんなん拾いも、いちょう並木を散歩するのも楽しいですが、足元には気を付けましょう。
ぎんなんは、秋の味覚の主役……とまではいえませんが、茶碗蒸しには欠かせないアクセントだったり、懐石料理やお節料理に松葉刺しにされたものが添えられていたりと、食卓を彩る名脇役です。
機会があれば、炒るだけでもおいしくいただけるので、秋の実りを食卓で楽しんでみてはいかがでしょうか。
●アンケート結果データについて
※本アンケート結果はキレイ研究室がおこなった、美容商品愛用者に対する調査結果です。
※実施:2019年10月15日~10月22日、N=1546
(20代:75名、30代:207名、40代:394名、50代:548名、60代以上:322名)
※掲載データ及び画像転載不可