注目の「発酵性食物繊維」が摂れる「小麦ふすま」で腸活しよう!カロリー低めなのに栄養たっぷりの優秀食材です!

「小麦ふすま」ってご存知ですか?
和室の仕切りに使用する襖(ふすま)・・・ではありません。
胚乳・表皮・胚芽から成る小麦の表皮の部分をふすまと呼びます。
シリアルなどに使われることもあるのでブラン(bran)の方がなじみがあるかもしれません。
ふすまは小麦の穀粒の硬い外層で、さまざまな栄養素や繊維が詰まっており、最近注目を集める食材です。
今回は、小麦ふすまの魅力についてお話ししたいと思います。

カロリー低めで栄養素がぎっしり!

小麦ふすまは、たんぱく質・多くのミネラル、そして何より食物繊維が豊富な食材です。
なんと食物繊維の含有量は、豊富に含まれる穀物として名高く、最近ダイエット食材として人気のオートミールの4.5倍、薄力粉の17倍も含まれているのです。
ミネラル類も豊富で、現代人が不足しがちな、カルシウム・鉄・マグネシウム・カリウム・亜鉛もたっぷり。
ミネラルの中でも、強力な抗酸化力を有る微量ミネラルのセレンが豊富なのもポイントです。
セレンは体内で働くグルタチオンペルオキシダーゼなどの酵素の生成に関わっており、フリーラジカルのスカベンジャー作用や抗がん作用が期待されています(出典:Molecules. 2019 Apr; 24(7): 1298.)。
セレンは成人男性で30μg、成人女性で25μgが1日の推奨量とされており、小麦ふすまを35g程度摂取するだけでクリアできてしまいます。


栄養豊富なのに低カロリーな小麦ふすま。
あまり耳慣れない食材かもしれませんが、ちょっと興味がわいてきませんか?

全粒穀物のポテンシャル! 発酵性食物繊維アラビノキシランについて


水溶性食物繊維のひとつである多糖類は、整腸作用や血糖値上昇の抑制作用のあることがよく知られています。
中でも多糖類の一種、難消化性デキストリンは、機能性表示食品としてもよく利用されているので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
しかし近年、βグルカンやフコイダンなど、免疫賦活作用を有する多糖類も多く報告されています。
これからお話しするアラビノキシランも、健康効果に注目を集める多糖類のひとつです。

アラビノキシランは、小麦ふすまや米ぬかなど穀物の外皮に含まれているヘミセルロースの一種で、小麦ふすまに含まれる総食物繊維含有量の70%を占めています。
アラビノキシランなど、多糖類の中には「発酵性食物繊維」ともよばれるものがあります。
発酵性食物繊維は腸に棲む善玉菌のエサになり、腸内細菌に食べられることで分解され、短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん/SCFAとも呼ばれます:Short-chain fatty acids)を産生させます。
短鎖脂肪酸とは、炭素数が6以下の脂肪酸で、腸内には酢酸、プロピオン酸、酪酸(らくさん)などが存在します。
短鎖脂肪酸は抗炎症効果や腸内のpHを調整し腸内環境を整える作用が報告され、近年、さまざまな健康効果が注目される成分です。
例えば、腸の抗体反応を増加させ免疫細胞を活性化やミトコンドリアのエネルギー産生量の増加(出典:Cell Host Microbe. 2016 Aug 10;20(2):202-14)、結腸ガン、炎症性腸疾患、2型糖尿病、心血管疾患などのリスクの低減 (出典:Front Microbiol. 2016 Feb 17;7:185.)など、多岐にわたる効果が報告されています。

また、女性にとってうれしいのが脂肪燃焼に関する効果の報告もあること。
短鎖脂肪酸は脂肪燃焼を増加させ、脂肪の貯蔵を減少させることにより、脂肪の代謝を調節することが示唆されています(出典:J Lipid Res. 2013 Sep;54(9):2325-40.)。
他にも、短鎖脂肪酸の酪酸を2型糖尿病を発症させた肥満のラットに経口摂取させることで肝臓の脂肪の蓄積を防ぎ、肥満を改善する効果といった報告もあります (出典:Biosci Biotechnol Biochem. 2007 May;71(5):1236-43.)。
ダイエットや体型が気になる方には耳寄りな情報ですよね。
ただ、少し残念な点が。
肥満に関する研究に関してはいずれもマウスやラットでの研究結果で、ヒトに対する試験の報告ではありません。
ヒト試験での結果が待たれますね!

最近は「第二の脳」とも言われ注目される腸。

腸のケアや腸内環境改善を目的とする『腸活』もブームを通り過ぎ、いまやポピュラーなものとなっています。
腸活を考えた際に、オーツ麦や大麦、そして小麦ふすまに代表される、穀物由来の食物繊維は重要なアイテムであり、さまざまな研究結果が報告されている食材です。
低糖質ブームにより、精製された小麦粉や白米といった、糖質の多い穀物は避けられがちですが、精製する前の全粒穀物に含まれる数多の食物繊維に代表される成分の持つ健康効果が近年明らかに。
穀物は、ただ避けるのではなく、摂取する種類や量に気を付けることが、美容や健康を考える上で大切なのですね。
小麦ふすまは、精麦の際に取り除かれてしまう部分からできています。
摂り過ぎによる健康への影響が心配される糖質を豊富に含む小麦粉以外の、食物繊維やたんぱく質、ミネラルなどが豊富に含まれる部分、つまり現代人に不足しがちな栄養素が豊富な、健康効果の高い部分のみでできた食材といえます。
ふすま製のシリアルや、ふすまを薄力粉に置き換えたレシピなどで、日々の食事に取り入れてみましょう!
小麦ふすまはちょっと・・・とハードルが高く感じられる方は、小麦を丸ごと挽いてつくられる、全粒粉を使用したパスタやパンなどからチャレンジするのがおすすめです。

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