心身に不調が出るときになるのが「更年期」。更年期障害について原因とケア方法について湘南リウマチ膠原病内科、上原先生に伺いました!
アラフォーが見えてきたあたりから、心身に不調が出るときになるのが「更年期」。
プレ更年期なんて言葉もあるし、もしかして私も…?
今回は、ちょっと気になる更年期について、湘南リウマチ膠原病内科の上原武晃先生にお話を伺いました。
女性のホルモンバランスに関連するさまざまな不調は、生理的なサイクルやライフステージによって異なります。
今回は、更年期障害について原因とケア方法を説明します。
更年期障害と一般的な症状
更年期障害(Menopausal Syndrome or Climacteric Syndrome)は、女性が閉経期に入る際に経験するさまざまな身体的および精神的な症状の総称です。
主に45歳~55歳にかけて症状が強く出ることが多いとされており、それより早い年代で、女性ホルモンのバランスが乱れる前から更年期障害が出てくるものをプレ更年期とよぶことがあります。
一般的な更年期障害の症状をいくつか紹介します。
(1)ホットフラッシュ(のぼせ)
突然の体温上昇を伴う感覚で、顔や首が赤くなり、発汗やほてりを伴うことがあります。
(2)夜間の発汗
夜中に汗をかくことがあり、これが不眠症の原因になることがあります。
(3)不規則な生理周期
生理の周期が不規則になり、最終的に閉経します。
(4)膣乾燥
膣の粘膜が乾燥し、性交痛や不快感を引き起こすことがあります。
(5)性欲の減退
性欲が低下することがあります。
(6)睡眠障害
ホットフラッシュや夜間の発汗、不安感などが睡眠を妨げることがあります。
(7)精神的な症状
不安、イライラ、うつ病的な気分、情緒の波が起こることがあります。
(8)記憶と認知の問題
集中力の低下や記憶力の減退が起こることがあります。
(9)体重増加
体重が増加することがあり、特に腰や腹部に脂肪が蓄積しやすくなります。
(10)骨密度の低下
骨密度が低下し、骨折のリスクが増加します。
(11)心血管症状
エストロゲンの減少により、心血管リスクが増加することがあります。
これらの症状は、個人差が大きく、全ての女性が経験するわけではありません。
また、更年期障害の症状は通常、数年から10年以上にわたり、持続的なものとして現れることがあります。
ただし、これらの症状は女性によって異なり、程度も異なることがあります。
どうして更年期はいろいろな症状があるの?
更年期障害は、女性の卵巣からのエストロゲン(女性ホルモン)の生産が減少し、生殖能力が低下することに関連しています。
主な原因として次の点が挙げられます。
(1)ホルモン変化
卵巣のエストロゲン産生が減少し、これにより体内のホルモンバランスが変わります。この変化が更年期障害の主要な原因です。
(2)遺伝的要因
家族歴が更年期障害のリスクに影響を与えることがあります。
(3)生活習慣
喫煙、不健康な食事、運動不足、過度なストレスなど、不健康な生活習慣が症状を悪化させることがあります。
どんなケア方法があるの?
更年期障害の症状を軽減するために、以下の方法が役立つことがあります。
(1)ホルモン療法(Hormone Replacement Therapy, HRT)
これは、エストロゲンとプロゲステロンの合成ホルモンを投与する治療法です。しかし、HRTにはリスクもあるため、医師との相談が必要です。
(2)ライフスタイルの改善
健康的な食事、適切な運動、十分な睡眠、ストレス管理など、生活習慣の改善が重要です。
(3)食事とサプリメント
カルシウムとビタミンDの摂取が骨密度を維持するのに役立ちます。また、大豆製品などの植物性エストロゲンを含む食品も試してみる価値があります。
(4)心理的サポート
更年期障害は精神的な症状(不安、うつ病など)を引き起こすことがあります。カウンセリングや心理療法が役立つことがあります。
(5)代替療法
ヨガ、アロマセラピー、鍼灸、漢方薬などの代替療法が一部の人に効果があると報告されています。ただし、これらのアプローチについては医師に相談してください。
更年期障害は女性によって異なる症状を引き起こすことがあり、治療方法も個人に合わせて検討されるべきです。
更年期障害の症状が日常生活に大きな影響を与える場合、医師との相談をお勧めします。
このように生理前症候群や更年期障害、プレ更年期障害など女性は年代により、ホルモンの影響でさまざまな不調を起こします。
個々で症状の出方や強さは大きく差がありますが、不調が持続する場合や症状が強い場合には、女性ホルモンだけでなく、リウマチや膠原病といった免疫の病気、甲状腺や副腎などのその他のホルモン異常といった病気が隠れていることもあります。
この場合には、自身で判断することは難しく、放っておくと重症化してしまうものもあるため、心配な場合には医療機関などを受診することをお勧めします。
体の不調に関して適切な知識を得て、早期に対応していくことでお困りの症状の改善につながっていくかもしれません。
執筆者
上原武晃先生
日本リウマチ学会専門医・指導医・評議員
大学病院・市中病院を経て2019年神奈川県茅ヶ崎市に湘南リウマチ膠原病内科を開院。
2000例を超えるリウマチ膠原病専門診療の経験を通し、女性特有の関節症状の鑑別、リウマチ膠原病疾患の早期発見早期治療、専門ケアに注力した診療をおこなっている。
更年期など女性特有の体の不調、手や指のこわばりや関節痛などの診察のため、東京神奈川を中心に毎月1000人を超える患者さんと向き合っている。
湘南リウマチ膠原病内科
https://www.shonan-riumachi.com/