
ダイエットに脂質制限っていいの?仕組みと方法についてクリニック院長の澤口先生にお伺いしました。
ダイエットをしようと思ったとき、カロリーの高い揚げ物や脂肪分の多い食材を避けようと思う方は多いと思います。
脂質制限ダイエットは本当に効果があるの?
今回は、脂質制限ダイエットの仕組みやメリット・デメリットについて、豊洲内科・糖尿病/形成・美容外科クリニック院長の澤口達也先生にお話を伺いました。
脂質制限ダイエットとは?基本的な仕組み
脂質制限ダイエットは、脂質の摂取量を抑えて体脂肪やコレステロール値の改善、生活習慣病の予防を目指すダイエット法です。
脂質の代謝の仕組みや制限の方法、メリット・デメリット、注意点などについて詳しく解説します。
脂質制限ダイエットは、脂質(特に飽和脂肪酸やトランス脂肪酸)の摂取を抑えることで、総摂取カロリーを減らし、体脂肪の減少や血中脂質の改善を目指す食事療法です。
炭水化物やタンパク質は1gあたり4kcalなのに対し、脂質は1gあたり9kcalと高カロリーですので、脂質摂取量を減らすことで総摂取カロリーが大幅に減少します。
また、脂質の摂取を抑えることで、体はエネルギー源として炭水化物やタンパク質を優先的に使用します。
余分な脂肪が蓄積されにくくなるため、内臓脂肪や皮下脂肪の減少が期待できます。
・脂質摂取を制限することで総エネルギー摂取が減少
・体脂肪の蓄積が抑えられる
・LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の低下
・体重減少や心血管リスク低下へ
脂質制限の方法:どんな食事がおすすめ?
脂質制限ダイエットでは、脂質の摂取を減らすと同時に、たんぱく質と炭水化物から必要なエネルギーを補います。
(1)食事の主な構成
脂質制限では、以下のような栄養バランスを意識すると効果的です。
炭水化物
推奨割合:50〜60%
主な食品例:ご飯、パン、うどん、野菜、果物
タンパク質
推奨割合:20〜25%
主な食品例:脂質の少ない肉(鶏むね肉など)、魚、卵白、大豆製品
脂質
推奨割合:15〜25%
主な食品例:オリーブオイル、ナッツ、アボカドなど
(2)高脂質食品
脂質制限では、以下の食品の摂取を控えます。
・揚げ物(天ぷら、唐揚げ、フライドポテトなど)
・脂身の多い肉(バラ肉、霜降り肉など)
・乳製品(生クリーム、バター、チーズ)
・マヨネーズ、ドレッシング(高脂質タイプ)
・洋菓子(ケーキ、クッキー、チョコレート)
(3)食べてもOKな低脂質食品
脂質制限中でも食べられる食品を選ぶことが重要です。
・鶏ささみ、鶏むね肉(皮なし)、ヒレ肉など脂質の少ない肉
・白身魚(タラ、カレイ、ヒラメ)など脂質の少ない魚
・豆腐、納豆、おからなどの大豆製品
・野菜、きのこ、海藻類
・ご飯、うどん、じゃがいもなど
脂質制限のメリット・デメリット
<メリット>
・摂取カロリーが減りやすく、減量しやすい
・LDLコレステロールが低下しやすい
・動脈硬化、心疾患の予防効果がある
・食後の脂肪吸収による眠気や倦怠感が少ない。
<デメリット>
・極端な脂質制限はホルモンバランスを乱す可能性
・脂溶性ビタミン(A,D,E,K)の吸収が低下
・肌や髪のうるおい低下・乾燥、月経不順、免疫力低下のリスク
制限のし過ぎに気をつけて。必須脂肪酸と栄養バランスの重要性
脂質を制限しすぎると、必須脂肪酸(オメガ3、オメガ6)や脂溶性ビタミンの不足につながります。
これにより、以下のような影響が出る可能性があります。
・ビタミンA不足:肌の乾燥、夜盲症
・ビタミンD不足:骨密度低下、免疫力低下
・ビタミンE不足:不妊症、赤血球破壊
・ビタミンK不足:出血しやすくなる
そのため、完全な「脂質ゼロ」ではなく、良質な脂質を適量摂取することが重要です。
例:アマニ油、えごま油、青魚、ナッツ、MCTオイルなど
体重減少に関しての留意事項
脂質を制限することで体重は減少しやすくなりますが、炭水化物をしっかり摂るため、初期の急激な減少は糖質制限と比べて少ない傾向があります。
・減量は比較的ゆるやかで安定している
・筋肉量を維持しやすく、基礎代謝が下がりにくい
・ストレスが少なく、長期的に継続しやすい
まとめ
脂質制限ダイエットは、体重管理や心血管系の健康維持に役立つ有効な食事療法です。
ただし、極端な制限は栄養バランスを崩し、健康に悪影響を与えるリスクもあるため、適度に脂質を摂取しながら、バランスの取れた食生活を継続することが大切です。
既に持病がある方や服薬中の方は、必ず医師に相談の上で実施してください。
[執筆者]
澤口達也先生
医師、医学博士。
豊洲内科・糖尿病/形成・美容外科クリニック院長。
糖尿病専門医として、日々、糖尿病や肥満症、高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病の患者さんの診療に従事し、食事指導や運動指導で数多くの方の減量を成功させている。
自身でも様々な食事療法やトレーニングを実践しており、過去にはアスリートフードマイスターや加圧トレーニングインストラクターの資格を取得。
また現在、健康スポーツ医、格闘技イベントでのリングドクターとしても活動している。
豊洲内科・糖尿病/形成・美容外科クリニック
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