子どもからのサインを見逃さないで!季節性うつ病(SAD)って何?

季節性うつ病とも呼ばれるうつ病の一種である、季節性情動障害(SAD:Seasonal Affective Disorder)。
実は日照時間が短くなる10~11月がSADを発症しやすい時季だといわれています。
冬季に多いことからWinter Blueと呼ばれることも。
「気力が続かない」「倦怠感が抜けない」「眠い」「甘いものが異常に欲しくなる」
などの症状を実感する方、特に毎年この時季になると不調が起こるという方は、SADの可能性を考えてみましょう。

SADの原因は不明? カギは日光??

実は、SADには未だ不明な部分も多く、何によって誘発されるのかは明らかにはなっていませんが、冬場になり日照量が減ることが原因のひとつだと考えられています。日照量の低下により、日光からの刺激が減ることでセロトニンの生成が減少し、さらに体内時計(概日リズム/サーカディアンリズム)を司るホルモンであるメラトニンの分泌が乱れ、体内時計にずれが生じてしまうのです。
セロトニンは幸福ホルモンとも呼ばれ、食欲や睡眠、精神状態に大きく関わりを持ち、心のバランスを整えてくれるホルモン。
メラトニンは睡眠ホルモンとも呼ばれ、私たちの体の体内時計を調整し、適切な睡眠へと導いてくれるホルモン。

どちらも、私たちの心身の健康状態にとても大切なホルモンです。
SADは冬場に日照量の少ない地域に多く表れることがわかっており、赤道直下の国々ではほとんど見られず、高緯度の地域である北欧や北米のアラスカなどで軽度の症状を含めると10%程度の高い罹患率が確認されています。
そして日本ではやはり冬季に日照量の少ない日本海側に患者が多いことがわかっています。
セロトニンの生成を活性化するのに必要な照度は、2500~3000ルクスほど。
実は屋内に設置されている蛍光灯の照度は300~500ルクス程度で、セロトニンの生成には足りません。
対し日光は曇りの日でも10,000ルクス、晴天時には100,000ルクスにもなるので、太陽光を浴びることがいかに重要かわかりますね。
また、サーカディアンリズムを整えるためには、朝屋外で日光を15~30分程度浴びると良いといわれています。
寒くなると外へ出るのが億劫になりますが、朝日をしっかり浴びて、お天気の良い日にカーテンを開ければ3,000ルクス程度になるので、日中はなるべくカーテンを開けて日差しを取り込みましょう。

「うつ」が心配なのは大人だけじゃない! 子どもも気を付けて

うつなど、心の病はストレスが多い現代社会を生きる大人のものと思いがちですが、大人に比較すると少ないものの、実は子どものSADも増加傾向にあるといわれています。
子どもは外で遊ぶもの、日光浴は十分なのではと思われるかもしれませんが、近年子どもの学校外の学習活動や室内遊びの増加に伴い、屋外で遊んだりスポーツをしたりする時間が減っています。
また、スマホやSNSによってインターネットの普及など情報化が進むことで、対人関係を始めとするストレスの増加も懸念されています。
特に女の子はうつ傾向が強く出やすい傾向があり、うつ症状を訴えるのは女児のほうに多く表れます
もともと、女性のセロトニンは男性の約半分と報告されており、うつ病に悩む子どもは、思春期以降になると女の子は男の子の2倍となることもわかっています。
そして、男の子は10歳を過ぎたあたりから男性ホルモンであるテストステロンの影響で攻撃性や衝動性が高くなる傾向があります。
セロトニンはそれらをコントロールする働きもあるので、生成が減ってしまう時期は、ケンカやもめ事、いじめなどが増えてしまうという報告もあります。

セロトニンの分泌量が減る秋から冬の時季、年頃の子どもがいる方は、いつもより注意して子どもからのサインを見逃さないようにしたいですね。
うつ病の症状というと、落ち込んだり悲しんだりといったイメージを持たれるかと思いますが、子どもの場合は過度に活発になったりイライラしたりといった症状として表れることも多く、周囲がなかなか気づいてあげられないこともあります。
他にも、集中力が低下している、きちんと睡眠がとれていない、急に食欲が増して糖分を摂るようになった、体重が急に増減したなど、普段とは異なる様子が見られたら、子どもとじっくり向き合う時間を取る、スクールカウンセラーに相談する、必要に応じて医療機関を受診するなどの対応を取りましょう。

SADのセルフヘルプ =セロトニンを増やすためのポイント=

心身のバランスに重要なセロトニン。
分泌を増やすためには、以下の4つを心掛けるのがポイントです。
① 太陽の光をしっかり浴びる
日光が目から入ることが重要です。
屋外に出たり、カーテンを開けたりして日差しを取り込みましょう。
朝の光を浴びるために、早寝早起きを心掛けるのもポイントです。
② 栄養をしっかり摂る
バランスの良い食事を摂ることは、心身を健康に保つうえでとても大切です。
また、セロトニンはトリプトファンというアミノ酸からつくられているため、トリプトファンを含む肉や魚、穀物、乳製品、豆やナッツ、バナナなどを意識して摂りましょう。
③ 運動をする
リズミカルに繰り返される運動にセロトニンの分泌を活性化することがわかっています。
ウォーキングやスクワット、自転車こぎなどの軽い運動や食事の際に「しっかり噛む」こともリズミカルな動きとなり、良いとされています。
④ グルーミング
親しい人とのスキンシップや人との触れ合いがセロトニンに効果があるといわれています。

SADの起こるメカニズムは不明ですが、高カロリーな食べ物が欲しくなったり、日中活動的になったりするのは、私たちが冬眠していた頃の名残だとも考えられています。
春が来れば改善されることがほとんどなので、日常生活に支障が出ない程度であるなら「今の時季は仕方ないか」と受け入れてしまうと、少し気持ちが楽になるかもしれません。
前述のセルフヘルプもぜひお試しください。
これから寒さは本番を迎えますが、大人も子どもも、なるべく日光を浴びて、ホッと一息ついてリラックスする時間をつくりましょう!

[文:キレイ研究室研究員 船木(化粧品メーカー研究員・サプリメントアドバイザー・健康管理士一般指導員・健康管理能力検定1級)]

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