【10月ごろまでご用心】虫に刺されたときの、応急処置と受診の目安をたかはし皮膚科クリニック 院長の高橋先生に伺いました!

蚊に刺されるなど、虫に刺されるというと夏をイメージされる方が多いと思いますが、実は蚊が活動しやすくなる気温は種類にもよりますが25~30℃で、35℃以上になると、活動自体が減ってしまうそう。
そのため、夏の暑さが落ち着き、ちょっとホッとできる今の方が、蚊に刺されるリスクが高くなるとも考えられます。
虫に刺されたらどうするべき?
今回は、たかはし皮膚科クリニック 院長の高橋謙先生にお話を伺いました。

虫に刺されたら…まずは『掻かない』ことが大切

この時期の虫刺されによる皮膚炎の多くは蚊、ブユ、ヌカカ(刺されたときの強烈なかゆみと、網戸をすり抜けるほど小さく、服の隙間に入り込むことから「スケベ虫」との異名が付いていることで最近話題になりました)など吸血系の虫刺されによるものと、毛虫の毛が刺さることによって生じるものとがあります。
いずれも痒みがあり、どうしても搔きたくなってしまいますが、掻くとかゆみが増したり、治りが遅くなるなど、ひどくなることがほとんどです。
このため、痕に残さないためにできることは、『掻かない』ことなのです。
痕の残り方には主に2通りあります。
一つ目は炎症が強くなって残る炎症後色素沈着。
もう一つは頻回に掻くことによって出来上がる痒疹(ようしん)という、ちょっと盛り上がったできもののようなものがあります。
炎症後色素沈着は、その部分に炎症が出なければ数か月から半年ほどで消失していきます。
しかし、痒疹は治療をしなければほぼ治ることはないのです。
非常にかゆみのある赤みやブツブツができてしまったら、早めに皮膚科などを受診することをお勧めします。
また、いずれも掻かなければ、また炎症が起こらなければ、悪化もしにくく、治りも早くなります。
そのため、虫刺されで痕を残さないための最も重要なこと掻かないことなのです。

虫に刺されたときの、応急処置と受診の目安

虫に刺されてしまったら、まずは患部を流水で洗い流し清潔にして、速やかに保冷材をタオルにくるんで冷やします。
また、虫刺され用市販薬を使うなどして痒みを和らげることも大切です。
しかし、お子さんや肌が弱い方、痒みが出やすい方はそれでは不十分なことが多いです。
そのような場合は、皮膚科を受診してもらうのがよいでしょう。
かゆみが落ち着き、掻かなくても済む状態なら、自宅で経過を見ましょう。
ただし、眠っている間に掻いてしまうなど、本人も知らないうちに掻いていることもあり、必ずしも、痒みの自覚があるとは限りません。
このため、炎症後色素沈着が続いていたり、痒疹がある方は皮膚科を受診し、抗アレルギー剤服用、ステロイド系外用剤を使用して治していく事になります。
痒疹がある場合の受診でも、痕を残さないためでも、塗り薬を使用するときに重要なことがあります。
それは塗りっぱなしでは不十分ということです。
皮膚科を受診しても、あまり細かく塗布の仕方まで説明をされないこともあるかもしれません。
すると多くの患者さんは、風呂上りに1日1回のみの塗布で済ませてしまいます。
これでは効果が得にくいため、必ず朝も塗って、1日2回は塗布をしてください。
そして、可能であれば当てガーゼ又は絆創膏などにて被覆してもらうと効果があげやすくなります。

まだまだ油断のならない虫刺され。
10月頃まではトラブルも多くなりますので、気候が良くなりこれからが楽しみな、秋のレジャーを楽しむ際にも気を付けましょう。

[執筆者]

高橋謙先生
たかはし皮膚科クリニック院長
1999年大阪医科大学(現大阪医科薬科大学)卒業、東京女子医科大学循環器内科へ入局。
その後、大阪府下で有数の患者数を誇った実家クリニック(元髙橋内科皮膚科クリニック、現在は閉院)の継承を念頭に様々な疾患を診れるよう、2004年に京大病院総合診療科へ入局。
専門科に割り振れない、様々な疾患(難病・奇病)の診療を経験し、2006年に関西電力病院総合内科へ入局。
日常診療に加え、研修医・医学生への指導に当たる。2009年に髙橋内科皮膚科クリニックへ所属し、大阪市立総合医療センター皮膚科にて研修をおこなう。
その後、髙橋内科皮膚科クリニックにて皮膚病疾患診療の研鑽を積み、2015年12月にたかはし皮膚科クリニックを開業。
現在は1日当たり80~130人の患者さんの診療にあたる。

たかはし皮膚科クリニック
https://www.takahashi-hifuka.com

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