以前、主に加齢によって筋肉が減少することによって起こる「サルコペニア」についてお話ししました。
似たような状況で用いられることの多い「ロコモ」「ロコモティブシンドローム」とどう違うのか、疑問に思われた方も多いのではないでしょうか?
今回は、ロコモティブシンドロームについて解説します。

進行すると要介護リスクUP? ロコモティムシンドロームについて

ロコモティブシンドローム(locomotive syndrome)とは、2007年に日本整形外科学会より提唱された概念で『運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態』のこと。
つまり、骨・関節・軟骨・筋肉などの運動器のいずれかまたは複数に障害が起こって、立ったり歩いたりといったことが難しくなる状態を指しています。
骨粗鬆症、変形性関節症等の疾患や事故などによるけがなどにより、筋力の低下や痛み、バランス能力の低下が起こり、寝たきりを含む要介護状態に至ると考えられています。
またデータを見ると、要介護・要支援状態になる原因の1位はロコモとなっており、20%以上を占めています。
加齢により運動機能が低下傾向になってしまうのは、ある程度は仕方がないですが、寝たきりにならずなるべく自分の足で最後まで歩いていたいですよね。
日本人の平均寿命が世界有数の長さであることは皆さんご存知でしょうが、健康寿命(WHOが提唱した心身ともに自立し、健康的に生活できる期間)と比較すると、男性で約9年、女性で約13年の差がでてきます。
その期間を不自由な状態で過ごすか、健康で生き生きと過ごすかは、ロコモ対策がとても重要になるのです。
ちなみにサルコペニアとは筋肉が減少することでしたよね。
そのため、サルコペニアはロコモティブシンドロームに含まれると考えられますが、その前段階と捉えてもよいかもしれませんね。
「ロコモなんて、まだ若い自分には関係ない」と思っている方。
あなたは「とっても甘い!」です。
実は、埼玉県医師会が文部科学省の委託を受け、平成22~25年におこなった、県内の幼稚園~中学生までの子ども1,343人のロコモに関する検診の結果、なんと約40%にロコモの兆候が見られたといいます。
小学生の1~2%がメタボリックシンドロームを発症しているとの報告もあり、子どもの頃から、しっかりとした運動の習慣や食習慣を身に付けておくことが、健康寿命を延ばすには重要なのですね。

サプリメントに頼っているだけではダメ? 運動しよう

関節の痛みなどを感じたときに、グルコサミンやコンドロイチンといったサプリメントを飲もうと思う方、多いと思います。
しかし、ノルウェーでおこなわれた慢性腰痛と変形性腰椎症の患者250人に対する試験と、米国でおこなわれた慢性膝関節痛の患者201人に対する試験では、サプリメントの摂取群とプラセボ群の比較試験では、どちらの試験においても、残念ながら安静時や運動時の痛み、QOL(生活の質)、そして軟骨組織体化の指標において、有意差が見られなかったとの報告があります。
(出典:JAMA. 2010 Jul 7;304(1):45-52、Arthritis Rheumatol. 2014 Apr;66(4):930-9)
OARSI(Osteo Arthritis Research Society International:変形性関節症の国際団体)が2008年に公表したガイドラインにおいても、運動療法は全てのシステマティックレビューにおいて有効とされており、何と推奨度は96%とされています。
日々の生活でしっかり体を動かすことを心がけることが一番大切なようですね。
また、重過ぎる体重は関節に負担をかけるので、肥満傾向にある方は減量を心がけることも忘れずに。
反対に痩せ過ぎの方は筋肉量が不足している傾向にあるため、太り過ぎ・痩せ過ぎどちらも要注意です。
毎日の食事では、脂質や糖質の摂り過ぎに注意し、筋肉の元となる良質なたんぱく質をさまざまな食材からバランスよく摂るようにしましょう。

いつまでも健康で元気に過ごすためには、日々の生活を見直し、食事や運動に気を配ることがいちばんの近道のようですね。
日本のロコモ人口は予備軍を合わせると4,700万人にのぼるともいわれています。
長い人生を最後まで楽しむためにも、ロコモにサルコペニア、そしてメタボ対策を怠らないようにしましょう!
[文:キレイ研究室研究員 船木(化粧品メーカー研究員・サプリメントアドバイザー・健康管理士一般指導員・健康管理能力検定1級)]

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