あなたの嚙み合わせは大丈夫?チェックポイントについてN.S.デンタルクリニック院長の長里先生に伺いました!

オーラルケアは口腔のためだけのものではなく、全身の健康や美容を考える上でも重要なのです。
N.S.デンタルクリニック 院長の長里康史先生に、噛み合わせのバランスが崩れることで起こるさまざまな影響についてお話を伺いました。

まずは歯の構造について知っておこう

嚙み合わせのバランスが原因で虫歯が発生するメカニズムを話す上で、まず歯の構造について解説をしたいと思います。
歯の表面はエナメル質といって、例えるなら、ガラス(セラミック)の様な硬い組織で覆われています。
各々の歯には力の負担量が設定されており、許容出来る以上の力が掛かってしまうと、エナメル質にヒビが入り、そこに口の中の常在菌が入り込んで時間をかけて虫歯が発生、進行していきます。
また歯に対しての力の掛かる方向、角度により虫歯が発生します。
そもそも歯にはそれぞれ明確に役割があります。
例えば、前歯は食べやすい大きさに噛みちぎる(横方向のエネルギーに耐える)、奥歯は物を磨り潰す(縦方向のエネルギーに耐える)様につくられています。
前歯とは、一般的に正中(お顔の真ん中)から中切歯、側切歯、犬歯までをさします。
その隣の第一小臼歯、第二小臼歯、第一大臼歯、第二大臼歯まで(第三大臼歯=親不知は今回は割愛します)が臼歯と区別されています。
理想的な噛み合わせというのは、諸説有りますが、奥歯で噛んだ時には第一小臼歯~第二大臼歯が噛めて、前歯の接触は無いように。下顎が左右に動く際は、上下の犬歯が当たって奥歯は離れるのが理想だと考えます。
この基準から大きく欠け離れていると、上述のように虫歯や歯周病の原因になることもあるのです。

あなたの嚙み合わせは大丈夫?こんなところもチェックポイント

こんな経験はありませんか?
奥歯でカチッと噛んだ時に、上下の前歯が当たってしまう。
前歯がアイスクリームや氷を食べると滲みる。
実は、これらが頻繁に起こることはあまり良い状態とはいえません。
思い当たる方は是非御自身の噛み合わせを鏡で確かめてみて下さい。
それらは力の掛かりすぎによるものことも多いです。
きちんと正せば無くなることもありますよ。
歯は痛みのみを感じる組織なので、痛い=問題が起こっているよ!というサインなので、見逃さないで下さい!

歯ぎしりにも気をつけよう

歯ぎしりをしていると、下顎を左右に動かした際に奥歯が干渉する事で、歯茎に近い部分のエナメル質が欠けて知覚過敏が発生したり、歯を支えてる顎の骨が減少して歯周病の原因になることがあります。
また、奥歯には、機能咬頭と非機能咬頭があります。
機能咬頭とは、下の歯であれば、奥歯の頬側の歯の山(尖っている部分)を指し、上の歯では奥歯の内側の歯の尖っている部分を指します。
非機能咬頭とは、機能咬頭の反対側の山なりの部分を差します。
この機能咬頭は、噛むときに使って(当たって)良い部分になりますが、非機能咬頭が歯ぎしりなどによって過度に接触してしまうと、不定愁訴(原因は分からないが、起こっている体の不調)を招く可能性があります。
この不定愁訴の引き起こされるメカニズムは、まだ明確になっていません。
しかし、就寝時に歯ぎしりやくいしばりのある方にマウスピースで歯の接触を正すと、頭痛、肩こり、首こり、不眠、顎関節症などの症状が軽減することが分かってきています。
たかが歯ぎしりと思ってしまいがちですが、体に与える影響は大きいのです。
歯ぎしりや食いしばりは癖になっていることが多く自分では気づきにくいもの。
セルフチェック出来る項目として幾つか有りますが、口蓋隆起(口蓋隆起とは、硬口蓋と呼ばれる口腔内の天井部に相当する部位の中央部の骨の隆起性(盛り上がること)病変を指します。)という骨の出っ張りや、下顎の歯列の内側白く丸い硬いもの(骨隆起)、また、頬っぺたの内側に白い線、舌の側縁(横)に歯に舌が押し当てられて出来る圧痕などがあります。
是非ご自身で確認してみて下さいね。

噛み合わせはおしゃべり(活舌)や表情にも影響!

発音、滑舌は歯の位置により変化します。
私自身、全顎(上下)のワイヤー矯正をやってみて、滑舌がとっても良くなったことに驚いています。
私の名字はどこか引っ掛かるようで喋りにくかったのですが、今では引っ掛かることもなく、すらすらとしゃべることができるようになりました。
患者さんとの会話にもさらに磨きが掛かっています(笑)
また、表情にも噛み合わせは大きく影響します。
お口は利き手と一緒で利き噛みなるものがあります。
食べやすい方(先程の咀嚼効率が良い方)を優先的に使うので、どうしても使う側の筋肉が発達し、顎の骨の幅が太くなります。
レントゲンで無くとも、正面から顔をみた時に頬の辺りが良く噛む側が膨らんで左右非対称になっていることが確認できる方が多いです。よく観察してみてください。
以上のことからも、噛み合わせのバランスはとっても大切で、きちんと噛める、話せる、伝えられる様になると、自ずと自信が湧いてきます。
表情が豊かになり、笑顔がステキになるものです。
御自身がハッピーになるだけでなく、関わる方も幸せに出来ると思っています。
皆さまが健康で元気にいるためには、必ず口から物を食べて栄養として吸収する必要があります。
きちんと噛めることは健康の秘訣なのです。
また、食事以外で上下の歯が堪えず接しているとしたら、それはあまり良い状態とはいえません。
安静にしているときは、歯は触れあっておらず、2~3mmの隙間がある状態が正常です。
常に歯と歯が接していると力が入るので、知らない間に歯を壊してしまいますから注意して下さいね!
とくに、最近多いのがスマホをみている時に歯が当たっている方です。
スマホを見ているときには顎を引いていることが多いと思いますが、その際は歯と歯を接触させないように気を付けて下さい。

[執筆者]

長里康史先生
N.S. デンタルクリニック 院長
私は自分の厄介な歯ぎしりの癖(これにより知覚過敏が酷くなってきてしまったため)が動機付けとなり、自分で人体実験をしてオリジナルのマウスピース(特許出願中)を産み出せました。
これが無かったら、この様な説明は出来ませんでした。
気になる事など、御座いましたら御気軽に御相談下さい。
略歴
平成23年 奥羽大学歯学部卒業 奥羽大学附属病院 臨床研修
平成24年 都内歯科医院勤務
平成29年 N.S. デンタルクリニック 開院

N.S. デンタルクリニック
https://www.ns-dental-cl-smile.com/

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