生理はうつる!? 月経にまつわるウソ、ホント。

毎月のようにやってくる、月経。
月に一度のこととはいえ、面倒に感じてしまう女性も多いと思います。
肌の調子も乱れるし、お腹が痛くなったり、気持ちが不安定になったり。
でも、月経は私たちの体が妊娠するための準備として、とても大切なもの。
きちんと月経のこと、知っていますか?
大人であっても意外と知らない、月経にまつわる5つの迷信についてお話しします。

まずは基本。月経とは?

月経は、簡単にいうと「不要になった子宮内膜の排出」です。
女性の体は、約一か月に一度、排卵期に卵巣から卵子を排出します。
すると、それに合わせて子宮内膜を厚くして、受精卵の受け入れ態勢を整えます。
受精卵が内膜に着床すれば、厚くなった内膜は受精卵を守るために働きますが、妊娠しなかったときは不要となり、はがれ落ちて体外に排出されます。
これが月経です。
日本人女性は、平均10~13歳ぐらいの間に初経を、50~51歳ぐらいに閉経を迎えます。

迷信その1:月経はうつる?

「生理中の友達と一緒にいると自分にもくる」
「生理中の人からは特定のフェロモンが出ていて、自分にも影響する」
このような話を聞いたことがある人も多いと思います。
月経は、周囲の人にうつるものなんでしょうか?
……答えは、NO。
現在、他人の身体に特定の効果をもたらすようなヒトフェロモンの存在は、確認されていません。
「友達が始まった次の日に自分も始まったことがあるのに」
と思われることもあるかもしれません。
でも、ひとつきのうち5日ほど生理期間があると考えると、友達の誰かと重なることは特別珍しいことではないでしょう。
そして、その友達と月経の周期が近ければ、それが続くことも全く不思議ではないですよね。

迷信その2:月経はその名の通り月の満ち欠けの影響を受ける?

月経の周期は人によってさまざま。
25日周期の人から38日周期(この周期が正常周期とされています)の人もいるうえ、体調の変化によって個人の中でも前後するもの。
始まりも終わりもバラバラなので、月の満ち欠けの影響を受けているとはいえません。
ただ、満月が再び満月になるまでは約30日間で、月の満ち欠けの周期と月経の周期は近いため、全くの無関係とはいえないかもしれません。

迷信その3:生理中に排泄されているものは血と同じ。だから貧血になる?

確かに、月経は生理的出血ともいわれます。
色も赤黒く、いかにも「血」のようですが、経血は私たちの体内を巡っている血とは異なります。
経血は、子宮壁の子宮内膜がはがれ落ちたものと血液、頸管粘液などの混ざったもので、いわゆる血液は10%ほどです。
しかし、経血と一緒に鉄分が失われてしまうため、月経中から月経後にかけては鉄欠乏性貧血になりやすくなります。
月経中はもちろんのこと、普段から、吸収効率の良い、赤身の肉やレバーなどに含まれるヘム鉄を積極的に取り入れましょう。

迷信その4:お風呂は控えるべき?

「湯船に雑菌がいるから感染を防ぐためにも避けた方が良い」
「お湯が汚れるのが心配」
これらの理由で月経中の入浴を避けてはいませんか?
実は、入浴によって菌に感染する心配はほぼない上に、温まりリラックスすることは月経痛を和らげる効果があります。
また、入浴にはブルーになりがちな気分を改善してくれる効果も。
そして、お風呂の中では水圧のため基本的には経血の流出は軽減するため、自宅での入浴はあまり神経質にならなくても大丈夫です。
貧血を起こしやすいので長湯は控えてくださいね。
また、生理中の汚れや臭いが気になるからといって、石鹸で膣内まで洗ったり、消毒したりするのは避けましょう。
膣内はもともと善玉菌が雑菌の繁殖を防ぐバリアとして働いています。
過度に洗浄することで膣内のフローラのバランスが乱れるとバリア機能が弱くなり、感染症を起こしやすくなってしまいます。
お湯でやさしく洗い流す程度にとどめましょう。

迷信その5:30代でも閉経することがある?

以前、30代でも更年期症状が現れることはお話しました。(20~30代でも更年期症状が!?更年期障害の原因と女性ホルモンについて
では、30代で閉経することってあるのでしょうか?
実は、40歳未満で閉経が起こることを「早発(早期)閉経」と言い、40歳未満の100人に1人、30歳未満の1000人に1人ほどに見られます。
早発閉経は、遺伝によるものや染色体異常や自己免疫疾患などさまざまな原因が考えられますが、多くは原因が不明とされます。
閉経により、自然妊娠が難しくなること、またエストロゲン量が減ることで脳卒中や骨粗鬆症のリスクが高まることがわかっています。
生理不順や無月経が続いたら、きちんと婦人科を受診しましょう。

毎月やってきて、私たちを少し憂鬱な気分にさせる月経。
現代の日本では考えられないことですが、月経中の女性は穢れているとして、狭い小屋などに隔離する風習が残っている国もあります。
隔離中に不衛生さや寒さ、野生の動物に襲われるなどして亡くなる女性も少なくないそうです。
他国の風習に口を出すのは憚れますが、このようなことは無知から起こるのではないでしょうか?
あなたは、月経の5つの迷信について、すべて正しく答えられましたか?
自分の体のためにも、月経についてまずはしっかりと知りましょう。
そして、自分の体をいたわってあげてくださいね。

[文:キレイ研究室研究員 船木(化粧品メーカー研究員・サプリメントアドバイザー・健康管理士一般指導員・健康管理能力検定1級)]

関連記事一覧